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2013.10.28 IFRS新着情報 IFRS 任意適用に関する実務対応参考事例について

今回は、9月13日に、日本経済団体連合会から発表された、「IFRS 任意適用に関する実務対応参考事例」についてご報告します。

経団連では、既に任意適用を開始している企業と、任意適用に向けた具体的な検討を開始している企業の有志で構成される「IFRS実務対応委員会」を昨年8月に設置し、各社の対応事例をまとめていましたが、このたび、各企業が、今後の任意適用検討に向けて参考にできるよう、この事例が発表されました。

まず、外部的な観点からのIFRS適用の意義としては、
・グローバルな視点での競合他社との比較可能性向上による、投資家の利便性の向上、資金調達可能性の拡大、市場における適切な評価獲得
・M&Aにおいて、米国株主が10%以上になる場合、米国SEC登録が必要になる場合があるが、その際にはIFRS又は米国基準の財務諸表を作成している必要があるため、登録対応が可能になること
・海外企業との合併事業等を行う際に、投資パートナーとのコミュニケーションが容易になる
など、海外展開を行う企業にとってのメリットが挙げられました。

次に、内部管理上の観点からの意義としては
・対外的な指標と内部管理上の指標の統一化による、社外へのコミットメントを意識した事業運営、予算管理の促進
・統一した業務管理指標としてIFRSを用い、グローバルにガバナンスを強化するツールとして活用
・グローバル資本市場における、傘下子会社も含めた財務報告の合理化
など、国内外のグループ会社を同じモノサシで管理できる、という点が多く挙がりました。

一方、各社が考える実務上の課題としては、
・業績管理面において、経常利益に変わる経営管理指標を検討する必要がある
・OCIノンリサイクリング処理(その他包括利益に計上されたものが、その後、損益計算書上を通さず直接利益剰余金にチャージされる処理)に伴う当期純利益概念の変質
・連単分離項目の業務管理上の取り扱い
などが挙がっています。

負担の重い項目としては、ほとんどの企業が、
・過大な開示項目への対応
を挙げています。

その他、
・親子会社間の役割分担の整理
・並行開示期間のリソース不足対応や決算システムの改定
・単独及び国内グループ会社では日本基準で決算実務を行うことによる二重管理負担
を挙げる企業もありました。

いずれしても、「実務対応参考事例」で公表された、実際にIFRS適用化に向けて動いた経験を持つ企業の声は、適用を視野にいれている企業にとって、大変参考になると思います。

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