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はじまる。保育所のサバイバルゲーム

2022.10.04

「保育園落ちた日本死ね!」と共働きする親の悲痛な想いを呟いたのが2016年の2月。                                            この呟きが話題となり、待機児童数の解消が問題になりました。

待機児童解消のため、2015年頃から2020年頃にかけて、都市部では保育所の建設が加速していきました。                                   一方で、地方では児童数の減少が顕著な状況で、地方での保育所経営に見切りをつけて、都市部での保育所経営を目指す企業が出てきました。

東北、九州、沖縄から、関東・関西への進出をねらう事業社は、この時期にかなり進出したと思います。
この2015年から2020年頃は、都市部で、かなりの事業社が保育業界へ参入を果たしました。

中には、上場会社の役員を退職して、退職資金で保育事業を手掛け、3年間で5つの保育所を建設するなど、通常では考えられない勢いで成長した事業社もあります。

はじまる。保育所のサバイバルゲーム

少子化によって経営が落ち込む学習塾の企業が参入したり、ベンチャー経営を行っていた事業主が保育業界へ新規参入を果たしたり、

鉄道業界でも駅周辺に保育施設を手掛けるなど、様々な事業から保育所事業へ参入を果たします。

保育業界は、新規参入の嵐で活況を呈し、待機児童数は、解消までいかないまでもかなり減ってきました。

 

下図は、保育所等待機児童数と保育所等利用率をまとめたものです(厚労省出典)。

令和4年4月の段階では、待機児童数2,944人と前年の5,634人から半減しており、保育所の利用率は50%超え、保育所の普及は進んだという結果が分かります。

はじまる。保育所のサバイバルゲーム

 

しかし、保育業界の2025年問題というものがあります。

2025年に、保育所利用数がピークに達するという問題です。もうあと3年です。
下図は、令和4年4月1日の保育所の定員数に対する利用者の割合(定員充足率)を都道府県ごとにまとめたものです。

令和2年4月から令和4年4月にかけて、保育所利用数が減り、定員充足率は下がってきています。
定員充足率が下がるということは、経営悪化が起きることを示しています。

保育所は、園児を受け入れるために必要な従業員数が決まっていますから、収益が下がったからといって、従業員数を減らすということはできません。

したがって、定員充足率が下がると、赤字になりやすいです。

はじまる。保育所のサバイバルゲーム

(厚労省出典)

都道県ごとにみると、長野県や山梨県などは、定員充足率が80%を切っており、                                               経営状況が厳しくなっている企業が増えていると思われます。

都市部で保育所の供給は飽和状態になりつつあっても、地方の過疎の地域からは、今なお、都市部へ移転しようとする動きも止まっていません。

現在の都市部では、地域によって、保育所の供給過多の状況が起きており、経営の悪化の兆候が見えている企業もおります。すぐに倒産はないでしょうが、今後、生き残りをかけて、企業合併や保育所の統合などの事例も出てくると思います。

現在、私共のところにも、保育所の存続に向けた相談が増えてきました。
保育業界では、既に生き残りをかけた熾烈な競争が始まっているといって良いでしょう。

私共は、行政が行う保育所の認可や指導監査への支援を通じて、様々な経営状況についてご相談を受けております。

経営改善のご相談や、合併等のご相談もお受けすることができます。
何か、ご相談ごとがございましたら、何なりとお問い合わせください。