【2027年適用】新リース会計基準の適用に向けた準備
2026.04.13
- はじめに:
はじめまして。監査法人アリアの髙野です。新リース会計基準(企業会計基準第34号)の適用まで残り1年となりましたので、その留意点をこちらに記載します。
今回の改正は、単なる会計処理の変更に留まりません。多くの企業において、「契約管理の仕組み」そのものを再構築することが求められます。
監査の現場では、すでに適用準備状況のヒアリングが始まっています。残り1年で、「監査法人からどのような指摘を受ける可能性があるか」を先回りして理解し、対策を講じておくことが、スムーズな決算への唯一の道です。本記事では、実務上の3つの重要ポイントを解説します。
- ポイント①:契約の「網羅性」をどう担保するか
監査法人が最も厳しくチェックするのが、「オンバランスすべき契約が漏れていないか」という点です。
監査で指摘されやすい「隠れたリース」「リース」という名称の契約だけを集めても不十分です。新基準では、以下の契約に「使用権資産」が含まれているとみなされる可能性があります。
不動産賃貸借: オフィス、店舗、倉庫、社宅、駐車場
IT関連: 専用サーバーの利用、データセンターの区画借用
物流・製造: 特定の車両、物流設備、製造ラインの専用使用
広告・その他: 看板設置スペース、特定のコピー機保守契約
新リース会計基準の免除規定には、「短期リース」と「少額リース」の2つの規定があり、いずれかに該当するリースは、使用権資産及びリース負債を貸借対照表に計上せず、リース料をリース期間にわたり費用計上する処理が認められています。
ただし、このうち短期リースについては注記する必要があるため、期首からの短期リースの費用処理額を正確に把握し、管理することが求められることから、社内の管理体制を整備しておくことが重要となります。
- ポイント②:「割引率」と「見積り」の妥当な根拠
新基準では、将来の支払リース料を現在の価値に割り引くために「割引率」を使用します。この利率の設定が、B/S・P/Lの数字を大きく左右するため、監査上の重点検討項目となります。
指摘を避けるための論点
割引率の選定: 「追加借入利子率」を採用する場合、その利率は客観的なデータに基づいているか。グループ一律の利率でよいのか、個別の資産特性を考慮すべきか。
リース期間の見積り: 賃貸借契約の「再延長オプション」を行使するかどうか。過去の実績や将来の事業計画と整合しているか。
これらは正解が一つではないため、「なぜその数値を選んだのか」という判断根拠(ロジック)を整備し、あらかじめ監査法人と合意しておくことが不可欠です。
- 経営指標(KPI)への影響と財務リスク
数字の計上方法が変わることで、経営者が重視する各種指標に大きな変動が生じます。2026年度中に試算を終えておかないと、適用後に「意図せぬ財務指標の悪化」を招く恐れがあります。
| 影響を受ける指標 | 変化の傾向 | 主な理由 |
| 自己資本比率 | 低下 | 総資産と負債が同時に増加するため |
| ROA(総資産利益率) | 低下 | 分母となる総資産が大きく膨らむため |
| EBITDA | 上昇 | 賃料が「減価償却費」と「利息」に振り替わるため |
5. おわりに
今回のリース会計基準の改正は、経理担当者にとって「過去最大級の事務負担」になると予測されます。しかし、これを機に自社の契約状況を可視化し、無駄なコストを削減する「契約管理の適正化」のチャンスと捉えることもできます。
「何から手をつければいいかわからない」「自社の財務指標にどれくらい影響が出るか不安だ」という方は、ぜひお早めにご相談ください。私たち監査法人アリアは、適正な会計処理を担保するだけでなく、クライアントがこの大きな変化を乗り越えるための伴走者でありたいと考えています。
準備に「早すぎる」ということはありません。2027年に向けて、今日から一歩を踏み出しましょう。
